太子堂の施設で5人の介護士が一斉退職して運営がままならない

今回のケースは現在、介護施設で切実になっている問題でもあります。

ご相談者さまは世田谷区のある施設で働いている介護士歴6年の方です。

きっかけは働いている介護施設内で一気に5人の介護士が辞めてしまったことにありました。

複数の施設を経営しているとはいえ毎回ヘルプを頼むわけにもいかず、ヘルプが調達できない場合は今いるメンバーで介護施設を回さなければなりません。

介護士はただでさえ身体的、精神的に厳しい環境中で働いており一人でも欠員が出ればそれだけでシフトが回らなくなる可能性があるほどに過酷なのです。

そんな時に5人もの介護士が一気に辞めてしまったわけですからその過剰な労働は想像に難くありません。

来談カウンセリングは青山を選択されました。相談者さまの思いとして同僚に合う可能性がある二子玉川でカウンセリングをしたくなかったそうです。

初回のカウンセリングで状況を確認させていただきました、すると以下のことがわかってきました。

◆現状◆
・全員が休みなしで出勤したとしても欠員シフト
・ヘルプも来るがそれでも欠員が恒常的になってしまっている
・夜勤→夜勤や早番→遅番など逆シフトが当たり前になってしまっている
・慢性的な残業が発生しているがすべての時間を付けることが出来ない
・同僚がコロナ、濃厚接触者を理由に休むことが多くなっている
・上長があまり出社しなくなっている(営業活動名目ではあるが)

ヒアリングで洗い出したこれらの状況は施設がすでに末期にあることを示唆しています。

そのことを少し説明します。

介護施設はシフトと呼ばれる役割と労働時間を分割した体制を取っています。例えば、朝晩と呼ばれるシフトでは朝5時、6時といった早朝から午後3時、4時まで働きます。

遅番とは11時、正午に出勤し午後8時、9時という就寝時間まで働きます。

そして、夜勤は夜中から朝までの夜帯を担う仕事です。

これらのシフトが絶妙に組み合わさることで施設運営は行われています。そして一つ以上のシフトに欠員がある状態で運営することを欠員シフトと呼びます。

ところがご相談者さまの施設では全員出社してたとしても欠員シフトになってしまっている時点で施設が回っていないことを意味します。

ヘルプはあくまでも応援ですから必ず調達できるものではありませんし抜本的な解決にはなっていません。

欠員シフトになると出勤している介護士のやらなければならない仕事が増えてしまいますから身体的な疲れが大きくなるばかりか、残業が増えてしまいます。

さらに、残業に関して会社側が経費節減と言っているため満足な残業代も申請できません。

この時点で働いている介護士はやる気をなくしてしまいます。

そして私の経験上、最も危険であると思われたのが以下の2つです。

同僚が休むがちになっている
上長の出勤日数が減っている

これは、上長を含む従業員が転職活動に入ったことを意味していると考えられます。

このことはご相談者さまも感じていましたが入居者さまのことを考えると転職活動に踏み切れていなかったのです。

それがストレスの原因になっていました。

※太子堂の老人ホームご入居相談事例を公開しております。詳しくは「【太子堂】50年続いたお店を閉店、入居希望者ご本人さまから老人ホーム探しのご相談」をご参照ください。

6年間入居者さまと一緒に頑張ってきたという自負

ご相談者さまは大学を卒業した後、新人として今の現場で頑張ってきました。

それだけに思い入れが強く、大好きな入居者さまもたくさんいたのです。

辛いことがあったとしても入居者さまからの暖かい言葉やお世話をしていることにやりがいを感じていました。

介護士として高齢者のお世話をすることに対して自信と誇りも持っていました。

それだけに今の施設について残念な思いが強かったのです。

何とかしたいと思っても管理、運営ではなく現場で働くいち介護士として何ができるかと、考えると自分でできることが何もないことにジレンマを抱えていました。

これがストレスとなってしまいカウンセリングに来られたのです。

次章からカウンセリングにおける意識の変化を書いていきます。