息子さまからのカウンセリング依頼ですが実は・・

今回、ご相談をいただきましたのは対象者さまの息子さまからでした。

お父さまがお母さまの在宅介護で疲弊しているので何とか良い方法はないか?というものでした。

介護専門のカウンセリングではこのようなご相談もいただきます。

息子さまからカウンセリングのご予約をいただき当日、二子玉川のカウンセリングルームでお話を伺うことになりました。

息子さまはお父さまとは月1回程度連絡を取り合うような仲でしたが、この半年ほどお父さまがネガティブな発言ばかりするようになったことを心配しご実家に行かれたそうです。

すると、お母さまの認知症が進行していることに驚いたそうです。

なぜここまでになるまで何も言わなかったのか、とお父さまに話をしたところお父さまは、

「お母さんが認知症でこうなってしまったことをお前に見せたくなかった。お前に寂しい思いをさせたくなない。」

と言われたそうです。

実はこういうケースは昨今とても多いです。

大型連休などで年に数回しか会わないようなご家族さまが増え、認知症の進行に気づくことが出来ないため、気づいた時には介護している側のメンタルが弱ってしまうのです。

息子さまはお父さまがこのままストレスを抱え込んでしまうと、同じように認知症を発症してしまうことを心配されていました。

今回の件では対象者がお父さまであること、お父さまは認知症を発症しておらず身体的にもお元気であることからお父さまとカウンセリングをすることをお伝えしました。

そして1週間後、息子さまとお父さまお二人でのカウンセリングスタートしました。

砧公園近くのご実家で在宅介護8年

お父さまとお会いした印象はとても聡明な方であるということでした。

元々、電車などを作る大手メーカーでモーターに関するエンジニアを長年やってこられたためか、物事を論理的に考える方でした。

それだけに在宅介護という特殊な事情に対して強いストレスを感じていることがわかりました。

お母さまが本格的に認知症を発症したと自覚したのは1年ほど前だったそうです。それまでは物忘れがひどくなってきたな、という程度だったのですがそのうち、物事の時系列がおかしくなってきたことで認知症を察知されました。

このころ、お母さまは車いすの生活になっています。

しかし生活に大きな支障が出ていないことから息子さまにも特に相談はしなかったそうです。

そして半年ほど前からお母さまの認知症が突然深刻化しました。

子供のころのような発言が増えてしまい、コミュニケーションが取れなくなってしまったのです。

例えば、宅配サービスで夕飯が届きお父さまが、

「今日は肉じゃがが来たよ、あったかいうちに食べよう」

と、発言しても、

「ケンちゃんはどこ?ケンちゃんに会うまではダメ」

と、話がかみ合わない状態になってしまったのです。

そして、お父さまが一番悲しかったのが排泄介護の時の極度な拒否反応だったことがわかりました。

車いすからトイレに移動させるのは体力的にもしんどいことなのですがそれよりも、お母さまに排泄介助を行おうとすると、

「イヤ!辞めて!お父さんに言いつけてやる!触るなー!」

と、極端な拒否反応を示すことが多くなってしまったのです。長年連れ添ってきた伴侶がお父さまのことを認識されていないことがあることにショックを受けてしまったそうです。

先ほども書きましたがお父さまは論理的な思考をされる方です。お母さまとの会話が成立しないことがストレスになっていることはカウンセリングの初期段階で理解できましたが、この半年の間でお母さまがご主人さまのことも分からなくなってきてしまったことでお父さまの心が一気に疲弊してしまったのです。

お父さまはそれでもお母さまとはできる限り一緒に居たいという思いは強かったのですが反面、これ以上は難しいというある種の結論も出し始めていました。

お父さまの心は最後まで在宅介護でなんとかしたい、というものでしたが宅配サービス、ヘルパーさんや入浴介助サービスだけではどうにもならなくなってきたことも理解していました。