旦那さまの発言や行動に疑問
世田谷区上町にお住いの主婦さまのカウンセリング事例となります。残念ながら介護の世界ではこのような事例は少なくありません。今回のケースも他ケース同様にご相談者さまの同意を得ての記事化となります。勇気あるご決断に感謝いたします。
カウンセリングに訪れたのは60代の主婦さまでした。
認知症を発症するお義母さまと同居されており、認知症が進行しており徘徊、排泄問題がありました。
同居が7年を超えて同居当時よりも認知症が進行しコミュニケーションが取りづらくなっていました。
それに合わせてご主人さまがお義母さまに対して強い言葉を使うようになりました。
お義母さまは常に何かを話しており、また同じことを繰り返し発言するようになっています。
「ご飯はまだかしら?まだ食べていないと思う」
「外に出たい、家に帰りたい」
という発言が繰り返し発せられていました。
最初こそ丁寧に受け答えしていたご主人さまですが毎日同じような発言を何十回も繰り返し言われるためだんだんと受け答えがキツくなってきました。
「もうご飯は食べたでしょ!何度も同じことを聞かないでくれ」
「もう帰る家は無いでしょ。売っちゃったでしょ。理解してよ」
と、かなりキツい言い方になっていることをご相談者さまは気にかけていました。
幾度となくご主人さまに言葉選びには気を付けてほしいとおねがいしましたが、
「俺だってわかってるよ。でも毎日同じ話を繰り返されるとついイラとして口に出ちゃうんだよ。」
と言われます。
確かにご相談者さまも同じ気持ちではあるのですが、認知症という病気である以上、理解しなければならないと思っています。
ところが、ご主人さまもお気持ちは同じであるはずなのに、という気持ちもあるのです。
そんな時にあるきっかけでご主人さまが大きな声を発せられたのです。すると、お義母さまはその瞬間、ハッとしたのか黙ってしまい、うつむいてしまわれました。その日はそれから繰り返し話をされることはなかったのですがそれがご主人さまにとってある種の支配方法となってしまったのです。
それからは、ことあるごとに大声を出すようになってしまいました。
「だまれ!」
「寝ろ!」
「待ってろ!」
といった単語で大きな声を発するようになってしまったのです。
やりすぎではないのか
大声が一定の効果を生んでしまったことからご主人さまはことあるごとに大きな声を出すようになりました。
お義母さまはその度に下を向いて何か言いたそうな顔をするようになりました。
それから少ししてトイレで排泄ミスが発覚しました。発見したのはご主人さまでした。
ご主人さまは、
「ちゃんとトイレでしてくれよ!」
と、怒鳴りました。
お母さまはその場で泣かれてしまったそうです。現場を目撃したご相談者さまは排泄物を片づけトイレをキレイに掃除しました。
そして、ご主人さまに、
「いくら何でも言い過ぎだと思います。もう少し認知症だということを理解して受け答えしてあげたらどうでしょう」
と、伝えましたがご主人さまは、
「いままで何度も言ってきたけど分からないじゃないか。キツくいうことで理解してるみたいだから今後も何かあったらキツく言うことで理解させるつもりだ。」
と、言われたそうです。これにはご相談者さまも愕然とされると同時に哀しい気持ちになったそうです。
しかしながら、キツく言えば静かになることは事実でもあるし、何度も同じことを繰り返し言われることについて疲れてしまっていることも事実です。
ただ、ご相談者さまの中にはご主人さまの物言いが感情的に言い過ぎではないか、という漠然としたモヤモヤがストレスとなってしまっていました。
そんな時に、介護疲れ専門のカウンセリングがあるということを知り、当カウンセリングへ来談に来られたのです。
ご主人さまは介護業界でスピーチロックと呼ばれる手法を用いていました。スピーチロックについては次ページで説明します。