人手不足で激務な上に経費節減

ある施設で働く介護士さまからカウンセリングのお問い合わせをいただきました。

その方は新卒で介護付き有料老人ホームに就職し5年間同じ施設で働いています。

その施設は毎年新人さんや中途採用さんが入ってきますが半年待たずに辞めてしまい人手不足が常態化していました。

人手不足のため仕事が終わらず毎日3時間近い残業、休日数が月に3日ほどとなっており心身共に疲れていました。

幸いにも人間関係は良好で職場の雰囲気も、みんなで頑張ろう!と前向きではありますが、根本的な仕事量の多さから疲れが取れず、仕事終わりでへとへとになり、休日も身体を休めることで終わっています。

それでも優しく察してくれる入居者さまの笑顔を見ることで頑張れていました。

ところが施設が経費節減を強化し残業時間の多さを指摘してきました。

理由を話しても他のスタッフはあなたほど残業をしなくても仕事ができているので、スキルを磨いてくださいと言われてしまったそうです。

しかし実態として同僚さんは仕事の途中で退勤処理をしていたのです。

それは施設内で公然とした事実ではありましたがご相談者さまはそのことに強い危機感を持っていました。

そのような状況の中でのカウンセリング予約となりました。

初回カウンセリングではまず現状を把握します。

そこからご相談者さまが何を悩んでいるのか、本質はどこにあるのかを気付くようにプログラムを作ることが介護カウンセリングの仕事です。

今回のケースでもまずご相談者さまに思いのまま話していただくことから始めました。

カウンセリングにより明らかになった原因

カウンセリングでは思いつくままに話をしてもらうことを伝えます。

大抵の方はまず、現状の不満から話し始めます。

そして仕事の楽しいことややりがいについて話すようになります。

今回のケースでも同じでした。(ネガティブな話は青、ポジティブな話をピンクとしました)

・施設の人手不足による残業の多さ

・やった仕事に対する対価をもらえない、申請してもクレームがつく

・新人教育システムが良くない

・言ったもん勝ちの職場雰囲気

・ある入居者さまの横暴

・支援制度が実質機能していない

・介護士がいなくなる職場で働いてい良いのか

・入居者さまとのふれあいの良さ

・仕事に対するやりがいの楽しさ

・自分なりにやりたい介護が見えてきた

ヒアリングからご相談者さまの内容を箇条書きにすることで少しづつ悩んでいることが明確になってきました。

ストレスの原因は現在の職場環境であることがわかります。

介護職は肉体的にも精神的にも疲れる仕事です。

精神的とは職場の同僚との関係値、利用者さまとの関係値どちらも当てはまります。

今回のケースでは利用者さま、同僚どちらに対しても強いマイナス思考はありません。

介護士様からのカウンセリングでは職場の人間関係による悩みが多いのですが今回はそれには該当していませんでした。

カウンセリングを通してご相談者さまが悩んでいる原因が職場での待遇であることがわかりました。

冒頭に記述しましたが、会社の体質がサービス残業になってしまったことが一番の問題でした。

ご相談者さまは介護の仕事に誇りとやりがいを持っていました。

スキルを磨き資格を取るのはより高度な介護スキルが利用者さまのためになると思っているからでした。

お金をもらうことで責任ある仕事をするという考えが根底にありました。

しかし、会社はサービスの質は下げずお金だけを下げてしまうような改正をしてしまいました。

ご相談者さまはそのことを、自分自身がやってきた全てを否定されたように受け止めていたのです。