介護施設に転職する
カウンセリングに訪れたのは千歳烏山に住む30代の女性介護士さんでした。
それまで大手スーパーマーケットの総菜売り場でアルバイトをしていたのですが今後のことを考えた結果、介護施設で働くことを決意された背景があります。
アルバイトをしながら初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の講習を受け、3か月かけて資格を取り正社員として働ける施設を探していたところ現在の施設を見つけ応募したところ夜勤が出来ることを前提に介護付き有料老人ホームで正社員採用となりました。
ご相談者さまはこれまでに介護の経験はありませんが介護業種の可能性、超高齢者社会になる日本で老人と一緒に歩み寄りたいとの目的をもって転職されています。
しかし、介護施設で働いてみると同僚である仲間から、執拗なるいじめにあってしまったのです。
先輩介護士に目をつけられた
その施設では介護未経験者での採用も積極的に行っており、しっかりとした新人研修プログラムがありました。
仕事が始まるとメンターと呼ばれる先輩介護士が一つ一つ実務に関してレクチャーをしてくれたそうです。
施設では常時15人程度のスタッフさんが働いておりシフトにより各スタッフごとにその日の役割が決まっているため覚えることはたくさんあるのですが、先輩介護士がゆっくりでいいから正確な仕事を覚えましょうと、言ってくれたため緊張することはなかったそうです。
メンターである先輩介護士も同じ転職組であることから親近感もあり職場での環境は良好でした。
しかし、3か月が経過したころから状況に変化が訪れました。
新人研修も終わり実務に励んでいる相談者さまにある介護士が厳しく当たるようになってきたのです。
(A介護士と呼称します。)
先輩介護士であるA介護士は年齢的には同じ30代で仕事に対して高い責任感を持っており、作業の1つ1つ細かいところまで指導してくる方でした。
A介護士は相談者さまの研修が終わった後から気になるところがあると逐一その場で「指導」名目で注意していました。
相談者さまは丁寧な仕事、安全な仕事のために指導されることに違和感はありませんでしたが、3か月が経過したころからA介護士の言動が仕事だけに限らず人間性についてまで指導してくることが気になっていました。
ある日、相談者さまが排泄介助に手間取っているとA介護士が居室にやってきて、
「もう3か月も経つのになんでこんなに時間がかかるんですか?それって他の人に比べて圧倒的に遅いですよ。さぼってるんですか?」
と言われてしまいました。
相談者さまは新人研修の時に丁寧な仕事こそが一番大切であると教わっていたため、おむつ交換なども丁寧な仕事を心がけていました。
他の先輩介護士もそのことは理解しており多少時間がかかっても文句を言う人はいませんでした。
そのような背景もあったためA介護士の発言には驚きを隠せなかったそうです。
その日は仕事が遅いことを謝ることで解決したのですがこれ以降、何かにつけて「指導」名目で指摘されることが多くなってきてしまいました。
相談者さまは仕事を覚えて一人前になるまでは何を言われても我慢する、という強い信念があり多少の事ではへこたれない強さを持っていました。
4か月目になり、自身が担当している利用者さまが転倒してしまう事故が発生しました。その際、A介護士が検証に立ち会うことになったのですがそこで驚くべき発言がありました。
曰く、
「あのね、アナタはただでさえ仕事が遅いのに事故まで起こしてどういうことなの?この事故のせいで今日働いてるスタッフ全員の仕事が遅れるって理解してるの?」
と言われてしまったそうです。事故について謝りはしたのですがA介護士はおさまりがつかないのかさらに強い言葉を浴びせてきたそうです。
「ごめんなさい、って言えば済むってことじゃないんじゃないですか?いい年してそんなことも分からないんですか?そもそもこの仕事向いてないんじゃないですか?今から転職考えたほうがよくないですか?」
とまくし立ててきたのです。
それまでことあるごとに「指導」という名目で厳しい言葉をかけてきたA介護士ですが、この時の発言は指導の域を超えているとハッキリ自覚したそうです。
それまでA介護士の言動に耐えていた相談者さまですが、この時ばかりは耐えることが出来ず、
「確かに私の見守り責任であるとは思いますが、転職しろとまで言われる理由は無いと思います。私はここで一人前の介護士になりたいのです。」
と話されました。
するとA介護士は反抗されたことがよほど頭にきたのか、さらに罵倒をあびせてきたのです。
「一人前とか言ってますけど、今のアナタをみていると一人前になれる気がしないんですよ。だから転職すればいいんじゃないかと言ってるんです。そもそも仕事ができないアナタがいるだけで他のスタッフ全員の仕事が増えてること気づいてます?アナタが辞めればアナタよりももっと仕事ができる若い新人がはいってくるんですよ。一人前になりたいんならヨソでやってくれませんか?」
このやり取りの後、相談者さまは施設長に今日あった出来事、A介護士の発言を報告しました。すると、施設長は、
「アナタの意見は伺いました。でもその介護士からも真意を聞かなければならないので今、答えを出すことはできません。それでもよいですか?」
と言われたそうです。相談者さまはこの時、嫌な予感がしたそうです。
そしてその予感は的中することになりました。
先輩介護士の陰湿ないじめ内容にについて次ページで詳しくご説明します。