先輩介護士の罵倒
施設長がA介護士から事情を伺ったであろう後に、A介護士が相談者さまに対して、
「アンタ、そういうことするんだ。わかりました。私もそれならそういう態度で接します」
と言ってきたのです。
それから相談者さまにとって地獄のような日々になってしまいました。
相談者さんが何かをしようとするとその度に、
「その仕事、今する必要ありますか?他にやることないんですか?」
と突っ込んできます。
そして、居室で仕事をしていると、
「今どこの部屋いますか?何してますか?それはあと何分で終わりますか?」
とスタッフ全員が聞いているラジオインカムでまくし立ててくるようになりました。
休み時間でもいじめは止まらず、
「仕事は半人前なのに休み時間だけは一人前ですね。半人前だとわかってるんなら休み時間減らしてでも仕事覚えるべきじゃないんですか?」
と、休憩室にやってきて罵倒するそうです。
毎日のように先輩介護士から「指導」という名目でいじめられてしまったことで仕事に行くことが嫌になる状態になってしまった相談者さまが当カウンセリングに来られたのはこの時でした。
記憶を整理する
今回のカウンセリングではまずどのようなことがあったのかを思い出してもらい話をしてもらうことからはじめました。
記憶というのは時間とともにあいまいになってきます。特に嫌な記憶というのは最終的に、「二度と経験したくない」という1つの生理的感情に帰結します。
これがストレスでは一番悪いことなのです。
そこでまず、覚えている範囲でどのようなことがあったのかを話してもらうことで自身の心の整理を促したのです。
最初こそ感情的になりながら記憶をたどっていた相談者さまですが、数回目のカウンセリングでは客観的に起きた出来事を話せるようになりました。
これは心が整理されてきた証です。
1対1ではない
心が整理されてきたことで相談者さまが行うべきことが見えてきます。
そこで次のステップとして相談者さまに対してあるべき状況を具体的に精査するカウンセリングに取り掛かりました。
いじめをするA介護士は1人だけであることが判明しています。では、他のスタッフはどうなのかを洗い出してみました。
すると、他のスタッフでいじめに加担している人物がいないことがわかりました。これはとても大きなポイントです。
相談者さまに対して執拗に攻撃をしてくる人物は全社員の中でA介護士だけであるということを理解することで、相談者さまが抱えている問題が施設全体の問題ではなく、A介護士の横暴によることが問題であると問題の限定化をはかりました。
今回のケースでは、A介護士からの「指導」についてはその場でしっかりと受け止めるような態度をとることでいじめの頻度が下がることがわかってきました。
それまで何かにつけて「指導」されていたのですが、その頻度が下がってきたのです。
対処方法が確立したことでストレスは軽減され仕事に対する嫌悪感もだいぶ薄れてきました。
相談者さまが介護職員として抱いている想いに進めるようになってきたのです。
周りのスタッフの助け
今回のケースで一番のポイントは問題となるA介護士以外のスタッフが相談者さんを気遣ってくれていたことです。
他のスタッフから、
「あの人、新しく入ってきた人には必ずキツクあたるんですけど気にしないでください。何かあったら私たちに相談してください」
と助け舟を出してくれたのです。
また、別のスタッフから、
「あの人、前の職場でも同じことして結局、そこに居られなくなって退職してウチに来たんですよ。ぶっちゃけみんなからも嫌われてますから心配しないでください」
と、声をかけられたのです。
一時期は他の施設への転職も考えていた相談者さまですが、こうした周りの助けが大きな力となり現職場で頑張る元気となっていました。
カウンセラーとしてここまで回復すればカウンセリングを続ける必要が無いこともお伝えしたのですが、カウンセラーに近況報告をすることで自分自身の中にある出来事を上手に整理したいというご本人さまの希望でいまでも月1回のカウンセリングを行っております。
【千歳烏山】同地区で老人ホームの入居を検討するご家族さまのケースを取り扱った事例がございます。
くわしくは「【烏山】在宅介護の限界、近所の目、家族間でのすれ違いからくる介護する立場の難しさ」に記載しております。
守秘義務について
相談事例はカウンセリングご利用者さまから同意をいただいた場合にのみ記事化しております。
当時者さまから記事の削除などのご連絡があった場合は記事の公開を取りやめる場合がございます。